まりぽの楽描帳

『意識×出会い×行動』で人はいくらでも変わり、成長できる。『幸せの形』は人それぞれ。日々の海外生活(今はベトナム・ハノイ)を好き気ままにアップ。

LHDワークショップ

☂のち☁

「Leprosy and Human Dignity - South East Asia」
(ハンセン病と人間の尊厳 - 東南アジア)

日本財団の働きかけとASEANの協力で、2009年に
“Leprosy and Human Dignity”(以下、LHDと記す)
というプログラムが始動した。
このプログラムは、東南アジアのインドネシア
カンボジア、タイ、フィリピン、そしてベトナム
5ヶ国を中心に、ハンセン病に関連した
社会問題の改善を目的としている。

LHDは、2009年から2013年の5年計画で推進され、
今年は4年目を迎え、ベトナムに着手している。

以下、一部LHDのガイドラインより抜粋:
(日本語は勝手にわかる範囲で訳したため、
一部おかしな点があるかもしれません。
どうぞご了承ください。)

*******************
(ガイドラインより)
1. Vision
To create a society in which all people affected by leprosy
in the South East Asian region are assured a dignified life
in an equitable and cohesive environment. 

ビジョン
東南アジア地域の全てのハンセン病回復者、患者、
そしてその家族にとって、同等かつ結束力のある環境で、
尊厳のある人生が保証される社会を目指すこと。

2. Mission
a. To sensitize various sectors of society to the issues surrounding leprosy.
b. To strengthen partnership among people affected by leprosy and various sectors of society to realize an inclusive society.

ミッション
a. ハンセン病を取り巻く問題を、社会のあらゆる分野に促すこと。
b. ハンセン病回復者・患者、そしてその家族と、
社会のあらゆる分野とのパートナーシップ(繋がり)を強化し、
当事者を含めた共存社会を実現すること。
*******************
LHDは趣旨と合致する、ハンセン病に関連した活動を
推進する団体に、資金援助を提供してくれる。
個人、または政府関連機関・団体は、
直接申請をすることができない。
ただ、非営利団体や民営団体との共催であれば、
政府機関も当然関わることはできる。その場合は、
共催する団体を通じて申請することになる。

LHDのコーディネートは、インドネシア
アディ・ジョセフ氏という、
回復者の方が中心になり行なっている。

ヤン(オランダ救らい協会)の話を聞く限り、
ベトナムにおけるハンセン病の現状は、
医療・社会の両側面において、
東南アジアの中では極めてよい方だという。
その大きな要因は、国連が治療薬(MDT)を
発表してから、ベトナムの保健省の取り組みが
早かったことにあるという。
20年前のベトナムを知らない私には
「今」しか見えていないけれど、
ベトナムの療養所の人の生活は、
中国の回復村で暮らしている村人(回復者)よりもは、
いい環境の中で暮らしていると思う。
(勿論そんなことは、それ以上に
いい生活環境においてもらっている自分が、
偉そうにどうこう判断することではないけれど、
あくまで感じたこと。)

一方で、ベトナムではハンセン病による
障害(後遺症)に悩まされる人が、他国と比較して
多いというデータがでているという。
オランダ救らい協会の一部の人は、これを
「遺伝ではないかと思う」と言っている。

また、キャンパー集めの際に個人的に感じたとは、
私と同世代の若者が、
ハンセン病をあまり知らないということ。
名前を聞いたことはある、
という程度の学生が多い。
日本と同じだ。
そしてその親世代の中には、
ハンセン病がまだ恐ろしい病気だと
思っている人がいるということ。
これは、以前キャンプに参加した
友だちと話をして感じたこと。

ベトナムでできることは、まだ色々とあるはず。
オランダ救らい協会は勿論、ブルードリームも今、
このLHDプログラムへの申請に燃えている。

私も個人的にやりたいことがある。
これまでは、ワークキャンプを通じて
村人と関わってきた。
LHDが1つの目的として掲げる「啓発」は、
正直やりたくなかった。
ハンセン病が治る病気であること、
怖くないことを伝えるのは大切。
そして出会った村人の話をしたり、
そこでの生活環境を周囲に伝えることも大切。
でもその「伝える」行為が苦手で、
これまで殆どやってこなかった。

でも、村人がどんな思いで人生を歩んできたのか、
どんな経験をしてきたのか、
どんなことを感じ、考え、思い、そして
今を生きているのか。
もっと多くの人と共有したい。

ベトナムの回復者の方は、
よく歌を歌ったり、詩を綴ることで、
その時々の想いを表現しているように感じる。
初めて会った学生に対しても、ためらうことなく
詩を見せてくれる人もいる。
キャンパーに詩を書いてくれた人もいる。
発信したい・話したいという人はいるけれど、
その機会がないのかもしれない。

ベトナムには私の知る限り、日本のように
回復者の体験記が詰まった本がない。
あったとしても、私はまだ読んでいない。

今ブルードリームが、
笹川記念保健協力財団さんの支援を受け、
3ヶ月毎に発行している雑誌がある。
ここでは、寄せられた回復者の詩や
ライフストーリーが沢山紹介されている。
ただ、発行部数は2000部に限られている上、
雑誌は療養所の回復者にも送られているため、
当事者以外の人の手に渡っている数は
さらに少ない。

この雑誌以外にも、
回復者の声を発信する方法は
色々とあるはず。

ハンセン病を学ぶ・知る」
ではなく、
ハンセン病について/を通じて考える」
そんなきっかけとなる企画を考えたい。

そしてそれ以前にまず、そもそも
ハノイの人たちがどれだけハンセン病について
知っているのか。あるいは知らないのか。
アンケートをとってみたい。
それをデータ化したら何か見えてくるかもしれない。
いわゆるボランティア活動、ワークキャンプ
外国人などに興味を持ってくれた学生の声だけでなく、
むしろこれらの活動に関心がない人への
アプローチもしていければ面白い。